三十三の姿で人々の願いを叶える!観音菩薩の種類
2018年11月12日
仏像としてよく見かける観音菩薩ですが、たくさんの腕があったり、いくつもの頭部があったりと、仏像によって姿形がかなり異なっています。
このようにそれぞれが個性的な姿をしているのは、人々を救うために変身するという観音菩薩ならではの特徴が関係しているのです。
ここでは、そんな観音菩薩の種類をご紹介していきます。
人々の願いを叶える観音菩薩
観音菩薩とは「観音」や「観世音菩薩」ともいい、人々の願いを叶えてくれる菩薩のことです。
この「観音」という名前には、人々の苦悩の声を聞き、救うという意味があります。
特徴的なのは、観音菩薩がその姿を自由自在に変えられることです。
そのため、いわゆる観音像と呼ばれる仏像には、実にさまざまな形があります。
六観音の種類
六観音とは、真言宗における観音菩薩の姿のことです。
ここでは、六観音の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
- 聖観音(しょうかんのん)…人間にもっとも近い基本的な観音菩薩の姿です。
- 十一面観音(じゅういちめんかんのん)…主な顔に加え10~11の顔があります。
- 千手観音(せんじゅかんのん)…2本の腕のほかに40本の腕を持っています。
- 馬頭観音(ばとうかんのん)…「憤怒」と呼ばれる険しい顔をしています。
- 如意輪観音(にょいりんかんのん)…如意宝珠と法輪を手にして座っています。
- 准胝観音(じゅんでいかんのん)…顔に3つの目と、18本の腕を持っています。
なお、天台宗では「准胝観音」が「不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)」に代わります。
あるいは、六観音に不空羂索観音を加えて「七観音」と呼ばれることもあるようです。
三十三観音の種類
観音菩薩は三十三の姿を持ち、人間たちに仏教の教えを説き救済するために変身するといわれています。
そんな観音菩薩のさまざまな姿を表すのが「三十三観音」です。
ここでは、江戸時代に記された土佐秀信『仏像図彙(ぶつぞうずい)』という書物をもとに、三十三観音の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
- 楊柳観音(ようりゅうかんのん)…右手に柳の木の枝を持っています。
- 竜頭観音(りゅうずかんのん)…伝説の生き物である龍の頭に乗っています。
- 持経観音(じきょうかんのん)…右手に経典の巻物を持っています。
- 円光観音(えんこうかんのん)…頭の後ろに丸く光が輝いています。
- 遊戯観音(ゆげかんのん)…自由自在に雲の上へ座っています。
- 白衣観音(びゃくえかんのん)…白い衣を身にまとっています。
- 蓮臥観音(れんがかんのん)…清らかな蓮の上に座っています。
- 滝見観音(たきみかんのん)…険しい崖に座り滝を見ています。
- 施薬観音(せやくかんのん)…静かに座り滝を見て、薬のように苦を救います。
- 魚籃観音(ぎょらんかんのん)…大きな魚の上に乗っています。
- 徳王観音(とくおうかんのん)…静かに岩に座り、右手に柳枝を持っています。
- 水月観音(すいげつかんのん)…水の上に立ち月を見ています。
- 一葉観音(いちようかんのん)…水面に船のように浮く蓮の葉に座っています。
- 青頸観音(しょうきょうかんのん)…青い顔のシヴァ神が原型といわれます。
- 威徳観音(いどくかんのん)…威厳と徳により衆生を仏教の教えへ導きます。
- 延命観音(えんめいかんのん)…呪詛や毒薬から人々の命を救い伸ばします。
- 衆宝観音(しゅほうかんのん)…1人の祈りが大勢を救うと説いています。
- 岩戸観音(いわとかんのん)…毒蛇が住むという岩窟の中で座っています。
- 能静観音(のうじょうかんのん)…海を前に岩にもたれて座っています。
- 阿耨観音(あのくかんのん)…岩に座り海を見ています。海難を救います。
- 阿麽提観音(あまだいかんのん)…語源不明ですが音写だと考えられています。
- 葉衣観音(ようえかんのん)…蓮華座に膝を立てて座っています。
- 瑠璃観音(るりかんのん)…蓮の上へ香炉を持ち立っています。
- 多羅尊観音(たらそんかんのん)…雲の上へ立ち人々を救済します。
- 蛤蜊観音(こうりかんのん)…大漁を祈願する漁夫に信仰されていました。
- 六時観音(ろくじかんのん)…1日中、衆生を見て守護しています。
- 普悲観音(ふひかんのん)…皆へ平等に大きな慈悲を与えています。
- 馬郎婦観音(めろうふかんのん)…女性の姿で仏教の教えを説いています。
- 合掌観音(がっしょうかんのん)…合掌して最高の境地に至っています。
- 一如観音(いちにょかんのん)…雲の上で雷をしずめ衆生を災害から救います。
- 不二観音(ふにかんのん)…慈悲の表情をしていますが仁王様にも変身します。
- 持蓮観音(じれんかんのん)…容姿が美しく、両手で蓮の花を持っています。
- 灑水観音(しゃすいかんのん)…水にお香を入れた香水で清めています。
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衆生を救うために数多くの姿に変身してくれる観音菩薩は、現代でも宗派を問わずに信仰されて人気があります。
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同じ観音菩薩とはいえ、変身後の姿にはそれぞれ個性があります。
ご自身の願いに合わせた仏像をご自宅へお迎えして、インテリアやお守りとしてその力をお借りしましょう。
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