いつかは挑戦したいお遍路さん。空海ゆかりの四国八十八箇所
2020年01月10日
仏道修行のために四国を巡る“お遍路さん”。
観光旅行とは異なる修行の場であり、
いつかは挑戦してみたいと関心をお持ちの方もいらっしゃるはず。
今回は、そんな四国八十八箇所についてお伝えします。
弘法大師ゆかりの地を巡る旅を通して、仏教への理解をさらに深めてみませんか?
人生で一度は挑戦したい“お遍路さん”とは?
仏教に特別に詳しいわけでなくても、
“お遍路さん”を知っている方は多いのではないでしょうか。
お遍路とは「四国八十八箇所」の通称であり、
四国では現代においても巡拝をする修行者の姿がよく見られます。
各旅行会社がお遍路のツアーを提供するなど、
多くの人に親しまれている修行といえるでしょう。
四国八十八箇所とは、
真言宗の開祖である弘法大師(空海)が開いたと言い伝えられる88カ所の霊場を、
巡拝する修行のことです。
かつては弘法大師を信仰する修行僧が行った修行でしたが、
今では宗派や信仰を問わず多くの方がお遍路に挑戦しています。
「人生で一度は挑戦したい」と意気込んでいる方もいらっしゃるでしょう。
巡拝する修行者は白衣を身にまとい、杖をつき鈴の音を鳴らしながら歩きます。
修行中は“常に弘法大師とともにある”という意味合いで
「同行二人(どうぎょうににん)」という言葉を用い、
88カ所への巡拝を目指します。
たとえ険しい道のりでも、弘法大師とともに長い旅路を歩いてゆくのです。
空海が生まれ育った地・四国
真言宗の開祖である空海は、現在の和歌山県に高野山金剛峯寺を、
京都府に東寺を建立したことで有名です。
ところで、なぜお遍路は空海への信仰とかかわりがあるのでしょうか。
その理由は、空海が現在の四国で生まれ育ったことが関係しています。
実は、空海の生誕の地は四国八十八箇所の第75番札所のある、
現在の香川県善通寺市だったのです。
この地に残された仏教寺院の善通寺には、
空海が生まれたときの産湯に用いたという井戸が残されています。
やがて遣唐使として現在の中国にあたる「唐」へ渡った空海は、
真言密教を学んだのちに帰国し、日本で真言宗の開祖となります。
僧侶として、そして書道家として、類まれなる才能に恵まれた空海。
四国はそんな偉人のゆかりの地でもあったのです。
お遍路の修行に必要なもの
お遍路の修行では、修行者が「遍路姿」と呼ばれる装いをします。
遍路姿は白装束が基本であり、巡拝のために長距離を歩けるよう軽装となっています。
以下でご紹介する巡拝用品を、巡拝用品の専門店を利用して揃えておきましょう。
- 金剛杖(こんごうづえ)…必ず用意しましょう。
- 険しい道を歩くときの支えとなり、お大師さまの分身としての意味合いもあります。
- 白衣(はくえ)…身を清めるために白装束で巡拝を行います。
- やや簡略化して、動きやすい服装の上に白衣を身につける方もいます。
- 菅笠(すげがさ)…頭にかぶる笠で、日除けや雨除けに役立ちます。
- 帽子や雨傘で代用することもあります。
- 輪袈裟(わげさ)…仏教に帰依することを意味する、略式の法衣です。
- 必ず用意しましょう。
- 手甲(てっこう)…手を保護します。
- かつての巡拝で身につけられていましたが、省略されることもあります。
- 数珠(じゅず)…袈裟と同じように、仏教に帰依することを意味します。
- 持ち運びのために念珠袋を用意すると良いでしょう。
- 頭陀袋(ずだぶくろ)…巡拝に必要な品物を入れて持ち歩きます。
- 現代ではバッグの形状をした便利な頭陀袋がよく用いられています。
- 納札(おさめふだ)…お参りした霊場にお納めする御札です。
- また、お接待を受けたときのお礼に手渡すこともあります。
- 持鈴(じれい)…清らかな音で煩悩を払うといわれ、
- 巡拝をする修行者の存在を周囲に知らせる役割もあります。
- 脚絆(きゃはん)…すねを保護します。
- 手甲と同じように、伝統的な巡拝の装束ですが、省略されることもあります。
こちらでご紹介したのは、お遍路の修行で基本的な装いをするためのものです。
このほかにも、巡拝する時期の気候や状況に合わせて、
雨具などの持ち物もご用意ください。
ハイキングのような軽装で、歩きやすい装いを心がけましょう。
お遍路で気をつけたいポイント
お遍路は仏教の修行であり、観光旅行ではありません。
基本的な観光マナーを守るとともに、お遍路のルールを守って修行に参加しましょう。
お遍路のルールとして知っておきたいのは、
「橋の上で杖をつかないこと」
「不浄な場所に金剛杖・菅笠・数珠などを持ち込まないこと」
「宿に到着したら金剛杖を洗い清めること」などです。
また、現地の方やほかの修行者には挨拶をしましょう。
修行者は「お接待」と呼ばれる施しを受けることがあります。
食べ物や飲み物を無償でいただく機会があるかもしれません。
道中では弘法大師とともにある修行者としての自覚を持ち、
感謝をしてお接待を受け取りましょう。
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仏女のみなさんの中には、
いつかはお遍路に挑戦したいと憧れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
観光旅行とは異なる旅路になりますが、
チャンスが巡ってきたらぜひ挑戦してみてください!
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